紙の上で

いつの間にか5月も終わりで、

修士の忙しさにかまけていた僕が久しぶりに明けたポストの中に、

いつものピザや新聞のビラの中に、数通、いつもと違う色合いの郵便物があった。


プレゼント

2010年、3月24日。

僕は大学を卒業した。

僕自身は修士課程に進むため、そのまま大学に残るのであまり京都を離れるという感覚はなかったが、

この春に就職して京都を離れるサークルの友人達にとって、

卒業はやはり大きな節目だったようだ。




その卒業に際し、大学院に進学する皆から、卒業する友人達へ、何か贈り物をしようという企画が持ち上がっていた。

贈り物は、皆のメッセージを書いたぬいぐるみと、この4年間の思い出をつめたDVD。


ぬいぐるみは無事に卒業式後にあった卒業旅行で渡すことができたが、

DVDだけは皆の収録時期が合わずに間に合わなかった。


それでも、なんとか渡そうと、半ば心が折れそうになりながらも空いてる日を見つけては皆で集まり、今月の中旬にようやく完成。

すぐさま、全国に散らばる友人達のもとへ、そのDVDを送った。





ポストに届いていたのは、そのお礼の手紙だったのだ。


ダンスを

部屋に戻り、早速その手紙に目を通してみた。

久しぶりに、手書きの手紙を読んだ気がした。



文字は踊るように紙の上を走る。

爽やかな友人の力強い「感謝」の二文字。

快活な友人の澄んだ表現。

一文、一文節、一文字それぞれに書いた人の個性が出て、

読むたびにその人の声が聞こえ、笑顔が浮かんでくるようだった。



読み終わった後、

じんわりこみ上げてくるものを抑えることができなかった。


作成したDVDを喜んでくれたことももちろん嬉しかった。

でも、自分にこうやって自筆で手紙を書いてくれることがこんなにも嬉しいことだとは、今まで思わなかった。









読み終えて、封筒を見返すと宛先の「町」が「長」になっているという間違いを発見。











とても素敵な手紙に、少し気分が軽くなった。